相続開始から相続税の申告書の提出期限までの標準的なスケジュールは以下の通りです。
被相続人がお亡くなりになった日を、「相続開始日」と言います。この相続開始日を基準として、税(相続税申告や準確定申告など)の申告期限や届出書の提出期限が決まります。また、⑧の相続放棄の期限も相続開始日が基準となります。このように遺産相続の諸手続きを行う上でも、相続開始日は大きな意味を持つ日といえます。
相続税の計算上、葬儀に関連する費用は、プラスの財産から控除することが出来ます。
しかし、すべての費用が控除できるわけではなく、一定の決まりがあります。
基本的には、亡くなってから火葬が終わるまでにかかった費用が控除できます。例えば、お寺さんに支払ったお布施・読経料・戒名料や、葬儀屋さんに支払った葬祭費用などがこれに該当します。
なお、初七日などの法要の費用は控除できませんし、他にも控除できない費用がありますので、注意が必要です。
初七日の法要と同様、四十九日の法要にかかった費用も控除できません。
公正証書遺言以外の遺言書が発見された場合には、家庭裁判所の「検認」手続きが必要となります。なお、「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形式など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造や変造を防止するための手続きであり、遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。
遺産を相続するためには、まず相続人の確定をしなければなりません。相続人になれる人は、民法で定められています。相続税を特定するための手続きとしては、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を収集する必要があります。過去何回か戸籍の改製が行われており、その戸籍の収集や内容に確認はなかなか難しいものです。ご自分でこのような戸籍謄本等を収集し、内容を把握することもできますが、相続人の判定を誤ると無用の混乱をきたすことにもなりますので、司法書士などの専門家に依頼することが無難な選択だと思われます。
相続税は、相続開始日時点の被相続人の財産が対象となります。また、生前に相続人等に贈与された財産についても相続税の課税対象となる場合があります。
また、遺産には、現預金や不動産などの積極財産(プラスの財産)、借入金や債務保証などの消極財産(マイナスの財産)があります。仮にマイナスの財産が多い場合には、相続放棄や限定承認などの方法を取ることもできますが、その手続きにも期限(相続開始後3か月以内)がありますので、早急に財産の把握をする必要があります。財産・生前贈与の内容把握はとても大事なフェーズですが、被相続人の財産の状況によっては、多大な時間を要することがありますので注意が必要です。
相続人が決まり、被相続人の相続開始日時点の財産、生前贈与の有無などがわかれば、大まかな相続税額の計算が可能です。今後の遺産分割の準備や納税資金の確保の準備などの指針になりますので、この時点で一度計算されることをお勧めします。
相続人は、被相続人の遺産を相続するかどうかを各人で選択することができます。
仮にプラスの財産よりもマイナスが大きい場合には相続を放棄することも可能です。
相続の放棄は相続開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをします。また、相続財産がどのくらいあるのか把握できない場合や負債は受け継ぎたくないという場合には限定承認を選ぶことも可能です。この限定承認も相続放棄と同様に相続開始から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをします。
初七日や四十九日の法要と同様、百か日の法要にかかった費用も控除できません。
年の中途で死亡した人の場合は、相続人が1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、所得税の申告と納付をしなければいけません。これを所得税の準確定申告と言います。なお、死亡した被相続人が個人で事業や不動産経営を行っていた場合で、消費税の課税事業者であったときは、消費税の準確定申告も必要となります。
根抵当権の債務者兼担保提供者が死亡し、債務者としての地位を根抵当権者(例えば銀行)と相続人との合意により特定の相続人が承継することとなった場合、相続開始から6か月以内に登記することが要件となり、これをしないときは、根抵当権の単担保すべき元本が相続開始の時に確定します。
相続税は、相続開始日時点の被相続人の財産の価額がその計算の基礎となります。そのため、その財産(積極財産・消極財産)の価額を正確に算出することが、正しい相続税額を算出することにつながります。その財産の価額は、基本的に財産評価基本通達に基づき算出します。なお、美術品などについては、鑑定人等に鑑定を依頼することもあります。
被相続人の遺言書が残されていない場合、または、残された遺言書通りに財産の分割をしない場合には、共同相続人間で「遺産分割協議」を行い、遺産分割協議書を作成します。なお、相続が開始すると、相続財産は相続開始の時から法定相続人全員によって、法定相続分の割合で共有となります。そこで個々の財産をそれぞれの相続人の所有として確定させる手続きが必要となり、それを「遺産分割協議」といいます。
相続税の申告期限内に遺産分割協議が整わなかった場合には法定相続分により計算された金額で未分割のまま、申告期限までに一旦相続税の申告を行い、後日分割が決まった時点であらためて申告することになります。しかし、この場合は、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の評価減などの相続税の計算上の有利規定が使えないため、相続税の計算上不利になる可能性があります。よって、未分割財産については、必ず把握しておく必要があります。
相続や遺贈によって取得した財産を国や、地方公共団体又は特定の公益を目的とする事業を行う特定の法人などに寄附した場合や特定の公益信託の信託財産とするために支出した場合は、その寄附をした財産や支出した金銭は相続税の対象としない特例があります。
農業等を営んでいた被相続人から一定の相続人が一定の農地等を相続や遺贈によって取得し、農業等を営む場合には、一定の要件の下にその取得した農地等の価額のうち農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額は、その取得した農地等について相続人が農業等の継続を行っている場合に限り、その納税が猶予されるという特例があります。
基本的に税理士が相続税の申告書を作成します。充分に内容を確認し、納得したうえで、申告されることをお勧めします。
相続税は、その納期限までに、原則として現金で一括納付しなければなりません。しかし、相続財産が不動産や非上場株式中心であるような場合には、一定の条件のもとに、相続税の年払いによる延納を行うことが出来ます。また、延納も難しいときは、一定の条件のもとに相続財産で納める物納を行うこともできます。
相続税は、相続の開始があったことを知った日(通常は相続開始日)の翌日から10か月以内に、申告・納付しなければなりません。
※相続人が、青色申告をしていた被相続人の業務を承継した場合は、青色申告承認申請書を提出することになりますが、その申請書の提出期限は被相続人の死亡の日によって異なります。
詳しくは当サロンまでお問合せください。